本日は占有に関して。

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占有権
物を現実的に支配している状態のこと。占有してるだけで認められる。
なのでたとえ泥棒でも認められる。
すごいね、、。
ただ、意思無能力者(0歳児など)は占有権が認められない。
自己占有:本人が直接に物を占有すること
代理占有:占有代理人を介して物を間接的に専有すること。間接占有とも言う。
賃借人(占有代理人)が物を所持している場合、その所持を通じて所有者(本人)が占有を有することが認められる。
つまりアパートを貸している場合、そのオーナーは代理占有していると言える。
占有が善意か悪意かについては占有代理人について判定される。ただし、本人(オーナー)が悪意の時は占有代理人が善意でも悪意占有者と考える。
占有代理人に対する第三者の権利の行使は、同時に本人に対する権利の行使となる。
要はアパート借りてる人に対する権利の行使は同時にオーナーに対する権利の行使になるということ。
瑕疵の有無に着目したもの
・瑕疵ある占有
悪意、有過失、脅迫、隠匿(公然でない)、不継続などの事情がある占有のこと
・瑕疵なき占有
上記の瑕疵が無い占有のこと
権限の有無に着目したもの
悪意で占有したのか、あるいは善意で占有したのか。
人の物だけど自分のものとして占有していたということ
所有の意思(他社を排除する意思)の有無に着目したもの
自分のものとして占有していること
泥棒の占有は自主占有にあたる。
他人のものと分かって占有していること(アパートの賃貸など)
自分の意思を持って占有しているかがポイント。
ではこれは?
株式会社の代表取締役が会社の土地を占有している。
会社として所有しているか?個人として所有しているか?
この場合、取締役は直接占有者ではない。(あくまで会社のために代表取締役という肩書で専有している)
※個人のために所有する特別の事情があれば別
占有の性質の変更
他主占有が自主占有に変わることがある。
①他主占有者が、自己に占有させた者に対して所有の意思があることを表示
②新権原によってさらに所有の意思をもって占有を始めたりした場合
→オーナーから借りてた部屋を買ったということ
この場合、他主占有が自主占有に転換する。
占有の移転および承継
占有は引き渡しにより移転する。
アパートの住人がAさんからBさんに変われば占有も移転する。
Aさんが亡くなって承継する場合、承継人は自己の占有のみを主張することも、前主の占有をあわせて主張することもどちらでも選べる。
ただし、前主の占有を合わせて主張する場合は前主の瑕疵(悪意や過失)も引き継ぐ。
前主が5年間善意で占有していた場合、後主は悪意であっても5年占有すれば取得時効を援用することができる。
逆に前主が悪意だった場合は15年必要。なので自ら占有した時から10年で援用することもできる。
占有権の効力
ある人がある物を専有している、という事実状態に一定の法的保護(占有権)が与えられている。
①権利の推定
占有者が占有物の上に行使する権利は、これを適法に有するものと推定される。
②果実収取権
・善意の占有者
占有物より生じる果実を取得することができる。
・悪意の占有者
人の物だと知りながら果実(みかん)をとった者。
→果実を返還、既に消費、損傷、または腐らせた場合は代価を償還する義務を負う。
つまり本来の占有者が取れるはずだった物は全部返せということ。(返せないものはお金で返せ)
※訴え提起の時から悪意の占有者とみなされる。
→訴え提起の時からの代価を支払う必要がある。
③費用償還請求権
・必要費
占有者が占有物を返還する場合には、その物に費やした必要費を回復者に償還請求することができる。(悪意でも請求できる)
例えばみかんの木の場合、水などの費用。
たとえ悪意でも水によってみかんの木は維持されていたので請求できるということ。
めちゃくちゃ図々しいやつだ。だけど請求できる権利はあるよと。
・有益費
絶対に必要なわけではないが、プラスになるような物(肥料など)を有益費という。
占有者が有益費を出した場合、回復者の選択に従って支出した金額、また増加額を請求することができる。(これも悪意でもOK)
肥料の金額orみかんのグレードが上がった分を請求することができるということ。
※ただし占有者が悪意だった場合、裁判所はその償還について相当の期限の猶予を与えることができる。
→占有者は「お金もらうまで占有したものは返さないよ」と言う可能性があるため、(同時履行の抗弁権)
裁判所は持ち主にお金を払うまでの猶予を与えることができるということ。
要するに「後払いでいいよ」ということ。
とにかく「すぐに占有物は返しなさい」と。(同時履行の抗弁権を外す)
被相続人の占有に属していた物は、被相続人の死亡により、相続人が所持ないし管理しているか否か、および相続の開始を知っているか否かに関わりなく相続人の占有に移る。
つまり占有権も相続人が承継するということ。
Aさんが家を持っていた。その後Aさんが亡くなり、Bさんが承継した。
その時、Bさんが把握していない別荘をAさんが持っていた場合もBさんに占有が移転する。
※Aさんが亡くなったことを知らなくても
占有訴権
占有者が占有を妨害、または妨害される恐れがある場合、妨害者に対して妨害or恐れを排除して占有の回復・維持を図る権利。(善意・悪意は問わない)
占有保持の訴え
占有を妨害された時、その妨害の停止および損害賠償の請求をすることができる。
※妨害の存する間、または消滅してから1年以内に提起しなければならない。
※占有する土地に家を建てられた場合、工事が着手してから1年または工事完成後は停止を求められない。
→損害賠償の請求しかない。家を壊すことはできないから。
占有保全の訴え
占有を将来妨害される恐れがある時、その妨害の予防「または」損害賠償の担保を請求できる。
※どちらかだけなので注意。
占有回収の訴え
占有を奪われた時、その物の返還および損害賠償の請求をすることができる。
窃盗や強盗によって奪われた場合。
詐取されたり横領された場合は「奪われた」にはあたらない。
賃貸借契約が終了した後も賃借人が不法占拠している場合も占有を奪われたとは言えない。
さらに、奪われた物が善意の特定承継人に占有が移った場合、占有回収の訴えを提起することができない。
また、占有回収の訴えは奪われた時から1年以内に提起しなければならない。
本権の訴えとの関係
占有の訴えと本権(物権的請求権)とは、互いを妨げない。
Aさんが所有するカメラをBさんに奪われた時、AさんはBさんに占有回収の訴えを提起することができるし、所有権に基づく返還請求訴訟を提起することもできる。
どちらでも、あるいは両方提起してもよいということ。
ただし、占有の訴えは本権に基づいて裁判をすることができない。
一方、本権に基づく反訴を提起することはできる。
→向こうが占有訴権で訴えてきたらこっちは本権で戦ってやるぞ。ということ。
占有権の消滅
占有権は他の物権と同様に目的物の消滅により消滅する。
しかし、混同や消滅時効によっては消滅しない。
自己占有の場合
①占有の意思の放棄
②所持の喪失
によって占有権は消滅する。
ただし、占有物を占有回収の訴えによって取り戻した場合は占有権は消滅しない。
戻ってきたということだからね。
代理占有の場合
①本人が占有代理人に占有させる意思を放棄した場合
②占有代理人が本人に対し、以後、自己または第三者のために占有物を所持する意思を表明した場合
占有代理人が「俺のものにするよ」と言った場合。ということ。
③占有代理人が占有物の所持を失った場合
