今回は契約各論について。
Contents
贈与
贈与者が受贈者に無償である財産を与えること。
片務・無償・諾成契約
相手方の承諾が必要
債務不履行の一般原則より損害賠償請求や解除が可能。
Aさんが当初Bさんが想定してた物を渡さなかった場合、Bさんから損害賠償や解除ができるということ。
・書面によらない贈与
いずれの当事者も自由に解除することができる。
ただし、既に履行が終わった部分に関しては解除はできない。
履行が終わったとは?
動産:引渡の終了時
不動産:引渡しまたは登記をいう
AさんがまだBさんに引渡して無くても登記で所有権をBさんに替えていれば履行が終わったとみなされる。
また、登記してなくても引渡しがあれば履行が終わったとみなされる。
・書面による贈与
自由に解除することはできない
特殊な贈与
①負担付贈与
「何かをしてくれたらあげるよ」というもの。
贈与者は受贈者の負担の限度において担保責任を負う。
②死因贈与
「自分が死んだらあげるよ」というもの。
遺贈と似てるが、死因贈与は贈与契約なので双方の意思表示が合致した契約。
遺贈は遺言に書かれてる(もらう方は知らない)ので単独行為。
※死因贈与は書面で書いてあっても解除できる
③定期贈与
一定の時期ごとに無償で財産を与える契約(毎月学費をあげるなど)
贈与者または受贈者の死亡により効力を失う。
売買
不動産の売買は所有権の移転の登記、債権の売買であれば確定日付にある証書による通知をしなければならない。
双務・有償・諾成契約
売主の義務:財産権移転義務
買主の義務:代金支払い義務
売買契約に関する費用は特約がなければ当事者双方が平等に負担する。
買主の義務について
・代金支払時期
特約がない限り、目的物の引渡時期と同時と推定される。
・買主による代金の支払の拒絶
売買の目的物に他人の権利が関係する時には、買主がその代金の支払を拒むことができる場合がある。
その目的物について権利を主張する者がいたなど。
買主はその危険の限度に応じて代金の一部ないし全部の支払を拒絶することができる。
売買の目的物である不動産に契約の内容に適合しない抵当権の登記がなされている場合、買主は抵当権消滅請求の手続きが終わるまで代金の支払を拒絶することができる。
一方、売主は買主に対して遅滞なく抵当権消滅請求の手続きをするよう請求することができる。
(いつまでたっても売れなくなってしまうため)
買う側に動いてもらうよう請求するって、買う側からしたらどうなのよ?(こっちが客なのに)って気がしなくもないけど、まあこういうもんなんでしょう。
手付金
①証約手付 ②違約手付 ③解約手付
の3種類がある。
当事者間に特約がない限り解約手付と推定される。
解約手付
手付の金額だけの損失を覚悟すれば、相手方の債務不履行がなくても契約を解除することができるという趣旨で交付される手付。
4000万円の土地を買うのに買主(Bさん)が100万円の手付金を入れた。
通常は債務不履行がない限り契約解除はできないが、手付金を放棄して契約解除すること。
要件
①「相手方が履行に着手する」前にすること
※みずからはダメ
②交付者は手付を放棄し、受領者はその倍額を現実に提供すること
※手付金をもらった方は倍額(上の例だと200万円)を払えば解除することができるということ
効果
契約を解除することができる。
・「履行に着手」の意味
Bさん(買主)が4000万円払っていなければAさん(売主)はBさんに200万円払えば解除できる。
また、Bさんが既に4000万円払っていても、AさんがBさんに土地を渡してなければBさんが手付金のみの放棄で4000万円を返してもらい放棄することができる。
・契約解除の効果
一般原則通り遡及効を有する。(元通りになるということ)
損害賠償の問題は生じない。(違法ではないので)
担保責任
売主が品質に問題のある商品を買主に渡した場合、債務不履行になる。
この場合、売主が買主に対して負う無過失責任を売主の担保責任という。
買主が請求できること
①追完請求
②代金減額請求
③損害賠償請求
④契約解除
①追完請求
①目的物の修補(直してねと)
②代替物の引渡し(代わりのものを下さいと)
③不足部の引渡しによる履行の追完請求(足りない部分は埋めてと)
②代金減額請求
足りない分は減額してねということ。
1㎡当たり10万円として100㎡の土地を1000万円で購入する契約をして代金を支払った後、実際には90㎡しかなかった。
この場合は差額の100万円を返還請求できる。
※登記記録上100㎡と書いてある甲土地が実際には90㎡だった。差分を買主側が請求できるかと言ったらできない。
→あくまで土地を買ったものだから(特定物の売買)。数量を買ったわけではない。
また、
1㎡当たり10万円として100㎡の土地を1000万円で購入する契約をして代金を支払った後、実際には110㎡あった。
この場合売主は買主に対して合計1100万円を請求できるか?
→これもできない。
代金減額請求は買主側に認められた権利なので、売主が「多く払って下さい」と言う権利はない。
損害賠償請求・解除
担保責任は債務不履行なので、損害賠償請求・解除を行うことができる。
期間制限
買主が契約内容に合致していないという事実を知ってから1年以内にその旨を売主に通知しなければ履行の追完請求等をすることができない。
また、契約不適合を知らなくても、引渡の時から10年で消滅時効にかかる。
※期間を設定しないと売主側が不安定な立場になるため
ただし、売主が悪意または重過失である場合には期間制限は適用されない。
故障車と知っていながら売ったなど。
権利に関する契約不適合における担保責任
土地を売買したが、その土地に地上権が付いていた。
これでは買主が自分の家を建てられない。
このように地上権、地役権、留置権、質権などの占有を妨げる権利が付いていた場合、担保責任を追求できる。
また、土地の一部に第三者の所有地が紛れ込んでいた場合も担保責任を追求できる。
目的物の滅失等についての危険の移転
契約後に壊れてしまったなどの場合は担保責任を追求することはできない。
これは当たり前だね。
担保責任を負わない特約
担保責任を負わない旨の特約は有効。
ただし、権利を譲渡(二重譲渡)した場合、売主側が契約不適合状態を作ったことになるので特約を締結したとしても売主は担保責任を負う。