物権変動の続き。
Contents
取得時効と登記
時効完成前の第三者との関係
AさんがBさんの土地の占有しているが、時効が成立する前にBさんがCさんに土地を譲渡した。
この場合Cさんが第三者にあたる。
と思いきや、Aさんが専有している土地の持ち主がBさんからCさんになっただけなのでBさんとほぼ同じ。(物権変動の当事者類似)
なのでCさんは第三者にはあたらない。
したがって、Aさんは登記なくして時効取得をCさんに対抗することができる。
時効完成後の第三者との関係
AさんがBさんの土地の占有していて10年(or20年)経ち時効が完成した。その後、BさんがCさんに土地を譲渡した。
Aさんは時効完成の時点で土地の登記が可能。
この場合、Bさんから土地を取得できる人が二人、つまり二重譲渡類似になるので登記の先後で所有権が決する。
先に登記を備えたほうが勝ちということ。
※起算点は、実際に占有を開始した時点に固定され、起算点を選択することはできないとされている。
なのでAさんは起算点を選択することはできない。
起算点を選択できるとCさんの登場前に意図的に時効完成ができないようにできてしまうのでズルい。(登記が必要でなくなる)
※短期時効取得(10年)を援用しうる者が20年間占有を継続した場合、長期取得時効を援用することも許される。
起算点を変えることはできないけど、あえて時効を伸ばすことによって時効完成前の第三者に対抗できることになる。
これは起算点を動かしてるわけではないのでOK。
相続と登記
被相続人(相続される人)の譲受人は、相続人に対して登記なくして不動産の所有権を主張することができる。
Aさんが生前Bさんに土地を売っていた場合、Bさんは登記がなくても所有権を主張することができる。
その後、Aさんの相続人Cさんに対しては対抗関係にはならない。
※AさんはBさんに売った時点で登記を移す義務があるため
相続人はその義務も相続するんだったよね。(包括承継)
一方、生前の被相続人からの譲受人と、相続人からの譲受人とは対抗関係になる。
上の例だと、Aさんが死んだ後、CさんがDさんに土地を売った場合。
これは二重譲渡と類似の関係になるのでBさんとDさんは先に登記を備えたほうが勝ち。
Aの相続人が複数いた場合
Aさんが死んだ後、BさんとCさんが共同相続した。(2分の1ずつ相続)
Cが無断で全てを相続したように登記し、Dさんに譲渡した。
BさんはCさんが持っている2分の1の部分には主張することができないが、自分の持分である2分の1に関しては、Dさんに対して登記なく対抗することができる。
自分の土地を勝手に売られたわけだからね。
遺産分割と登記
みんなで保つ必要のある相続財産を単有(一つにする)にしたりすることを遺産分割という。
相続人全員で協議する必要がある。
遺産分割前の第三者との関係
Aさんが死亡し、BさんとCさんが2分の1ずつ遺産を相続した。
遺産分割協議(Bさんの単独所有にしよう)の前にCさんが持ち分の土地をDさんに譲渡した。
遺産分割の効果はAさんの死亡に遡る。
遺産分割によって第三者の権利を害することはできないとされる。
もっともそのためには登記を備える必要がある。つまりDさんは登記をしていれば所有権を主張できる。
※解除と一緒
遺産分割後の第三者との関係
Aさんが死亡し、BさんとCさんが2分の1ずつ遺産を相続した。
遺産分割協議(Bさんの単独所有)をした後、Cさんは自分の持分をDさんに譲渡した。
Cさんからの二重譲渡の関係になるので、登記の先後が大事。
先に登記をしたほうが権利を主張することができる。
〇〇の後に出てきた第三者は二重譲渡と同じなので登記の先後が大切。
〇〇の前に出てきた場合は登記は必要ない。
相続放棄
借金ばかりあるAさんが亡くなった。それを全て子が相続すると負の連鎖が止まらない可能性がある。
なので相続放棄という形で、仮にプラスの財産があった場合もそれを含め全て放棄しプラスマイナス0の状態にすることができる。
相続放棄は最強なので、登記がなくてもその効力を第三者に対抗することができる。
「物権が無い」ということを相手に主張するのも一つの対抗関係と言える。
つまり登記がなくてもこの土地はもう所有していませんと言えるということ。
遺贈と登記
亡くなった方が、「自分が死んだらこの土地を誰かにあげるよ」といった特殊な贈与。
持っている物を全部あげるということ。登記なくして第三者に対抗することができる。
亡くなった人と同じ立場になるため。(当事者類似の関係)
特定の物をあげるよということ。第三者との対抗関係になるため、所有権を主張するためには登記が必要になる。
AさんがBさんに土地をあげると言ったにも関わらずCさんにも譲っていたなど。
通謀虚偽表示の第三者と対抗要件の具備
AさんがBさんに土地を譲渡し(仮装譲渡、本来は売買してない)、Bさんに登記を移した。
その後、BさんがCさん(善意)にその土地を売った。
Cさんは第三者なので保護される。なのでAさんはCさんに対して無効を主張することができない。
AさんとBさんの間の仮想譲渡は原則無効なのでAさんに所有権があるということ。
なのでAさんは関係ないDさんにも土地を売買することができる。
この場合、CさんとDさんで土地の所有権はどうなるか?
→二重譲渡の関係になるため登記の先後で決する。
不動産登記
登記の手続きは共同申請を原則とする。
AさんとBさんの間で土地の売買があった場合、義務者と権利者で両方登記する必要があるということ。
ただし、保存登記は例外として単独申請で行う。
※土地家屋調査士が行う表題登記は単独申請が原則となる。(保存登記だから)
登記手続きに関して、同一の人が登記権利者、登記義務者双方の代理人となっても問題ない。
※AさんとBさんと司法書士で行う。
BさんはAさんに対して登記請求権がある。
・物権的登記請求権
Bさんに物権があるよということ
・物権変動的登記請求権
AさんからBさんに所有権が移ってるよということ
・債権的登記請求権
AさんはBさんに土地を渡さなければいけないということ
※試験には出ない
中間省略登記
※不動産登記法では認められていない
三者間に特約(合意)がある場合は認められる。
Aさん→Bさん→Cさんで土地を譲渡した場合、Bさんを飛ばしてAさんがCさんに土地を渡すことは基本的にダメだが、三者間に特約があれば認められる。というもの。
特約がなかったとしても既にされた中間省略登記は有効。