はい、所有権の続き。

Contents
共有
2人以上の者が1個の物を共同して所有すること。
共有の形態
(狭義の)共有
数人がそれぞれ共同所有の割合としての「持分」を有して1つの物を所有する形態。
所有の割合
友人3人で資金を出し合って別荘地を購入した場合など
出資の比率によって持分が決まる。
それぞれ持分を処分する自由がある。また、持分に応じた分割請求の自由がある。
共有状態を解消すること
例えばAさんがBさんの持分の金額を払えばAさんの単有にすることができる。
合有
組合の財産など。
持分自体はあるものの、持分処分の自由や分割請求はできない。
総有
権利能力なき社団など。
持分自体がない。

持分・持分権
所有者が2人以上の場合で表題登記を申請する時は、その持分を申請情報の内容とする。
※出したお金の割合で持分は決まる
持分権は各共有者が自由に処分することができる。(誰かに売ったり抵当権をつけても良い)
共有者の1人が持分を放棄、または相続人無くして死亡した時は、その持分は他の共有者に帰属する。

※単有の場合は国庫に帰属する
共有目的物の利用
各共有者は、共有物の全部につき、その持分に応じた使用をすることができる。
つまりAさん、Bさんが共同で家を買った時、2分の1しか使えないというわけではない。
共有物を使う時は共有物の全体を使うことができ、その程度が持分の割合に応じて制約を受ける。
→1つの車を2人が共有している場合、各自が2日に一度ずつ使用すると行った具合。
共有物の保存・管理・変更
保存行為
共有物の現状を維持する行為
①目的物の修繕
②妨害排除請求
単独ですることが可能。
※他の共有者に何の害もないから
管理行為
共有物の性質を変えること無くこれを利用または改良すること。
①共有地の賃貸借契約の解除
②共有建物の使用貸借契約の解除
AさんとBさんが2分の1ずつ土地を共有していてCさんに貸していた場合。
Cさんに貸すのを辞めさせたい場合、持分の価格の過半数が必要。
なので持分が2分の1の場合、単独で行うことができない。
Aさんの持分が5分の3、Bさんが5分の2の場合、Aさんは単独でOK、Bさんは単独はNGとなる。
変更行為
共有物の性質もしくは形状またはその両者を変更すること。
①共有農地を造成して宅地にすること
②共有山林の伐採
③共有物の売却およびその解除・取消し
④共有地の全部に抵当権を設定すること
共有者全員の同意が必要。
不動産登記との関係
・形成的登記
申請者の意思が必要な登記。変更行為。
要するに、分ける必要はないのにあえてする登記ということ。なので共有地の場合、共有者全員の同意が必要。
・報告的登記
申請者の意思を必要としない登記。
宅地の土地を畑に変えたなど。この場合速やかに登記に反映させなければいけない。
そのため申請義務がある。また、保存行為にあたるため共有者の1人から申請することができる。(持分は関係ない)
共有物の管理費用の分担
各共有者は持分に応じて管理費用や税金を負担しなければならない。
共有者が1年以内にこの義務を履行しない時は他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を所有することができる。
共有者が他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
AさんとBさんが2分の1ずつ土地を持っていて、Bさんが固定資産税を払わないのでAさんが肩代わりしていた場合、AさんはBさんに請求する権利がある。ということ。
その後、BさんがCさんに持分を売った場合、この権利はCさんに対しても行使することができる。
共有者相互の関係
①原状回復請求
他の共有者の同意を得ること無く共有物に変更を加えた場合には、他の共有者は共有物を現状に復させることを「単独で」求めることができる。
②妨害排除請求
妨害排除請求は保存行為であるため、各共有者が「単独で」その全部の引き渡しを請求することができる。
ただし、共有者の1人が排他的に使用している、あるいは全員の同意を得ずに共有地を第三者に使用させている場合、当然の明け渡し請求は認められない。
AさんとBさんの共有地をAさんが排他的に使っている、またはCさんに使わせている場合、BさんはAさんやCさんに対して「引き渡せ」とは言えない。
使ってる、使わせてるのがAさんだから。一応全部を使う権利はあるため。
③抹消請求
所有権全部について不実な全部移転登記がなされた場合の抹消請求は、共有持分権に基づいて単独でなすこともできるとしている。
AさんとBさんの共有している土地なのに登記記録がCさんになっていた場合。
「単独で」抹消請求を行うことができる。(保存行為だから)
ただし、共有者の1人が勝手に自己名義での所有権移転登記をしていた場合、
(Aさん、Bさん、Cさんの共有している土地なのに勝手にAさんだけのものと登記した)
自己の持分についてのみ抹消請求することができる。(全部ではない)
※相手が共有者の場合、主張できるのは自分の持分だけ
④対内的な対抗関係
共有不動産の持分権が放棄された場合、他の共有者の持分権を取得するが
これは「物権の得喪」に該当し、これを第三者に対抗するためには登記が必要となる。
AさんとBさんが共有で土地を持っていてBさんが相続人無く亡くなった場合、
BさんからAさんに持分が移ったという登記が必要。(第三者と対抗するためには)
Aさん、Bさん、Cさんが共有で土地を持っていてCさんが亡くなりBさんに譲渡した場合、これもAさんに対して主張するためにはCさんからBに持分が移ったという登記が必要。
⑤共有の対外関係
共有物の不法行為に対する損害賠償請求権は、「自己の持分についてのみ」行使できる。
Aさん、Bさん、Cさんで3分の1ずつ共有していた場合、Dさんの不法行為(3000万円分)に対してはそれぞれ1000万円ずつ請求することができる。
Bさんが代表して3000万円ということはできない。
全体をまとめると、
共有物の保存や保護に関することは単独でOK、権利や賠償に関しては自分の持分だけ主張できるし、持分の権利主張には登記が必要だよ。
ということ。
共有物の分割
共有状態にある物を単有にすること。
①協議による分割
各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができる。
ただし、5年を超えない期間を定めて分割禁止特約も有効とされる。
分割方法は、現物分割、代金分割、価格賠償のどれでもOK。
②裁判による分割
共有者間の協議が調わない場合は、裁判所に分割を請求することができる。
こちらも現物分割、代金分割、価格賠償のどれでもOK。
分割の種類
・現物分割
共有物を共有者間で分ける方法
・代金分割
共有物を売却して代金を分ける方法
・価格賠償
共有関係の解消を求める者の持分を他の共有者が有償で取得することにより共有関係から離脱させる方法
不動産登記法との関連
裁判または訴訟上の和解によって共有物が分割された場合、共有登記名義人の一部の者が分筆登記の申請をしない時は、他の登記名義人が代位して分筆登記の申請をすることができる。
AさんとBさん共有の土地を分割登記することになったが、Aさんが協力しない。
本来はAさんとBさんで登記申請を行わなければいけないが、この場合Aさんを被代位者、Bさんを代位者としてBさんだけで分筆登記の申請をすることができる。
担保責任
各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じくその持分に応じて担保責任を負う。
売主と同じくとは?
ある共有者が分割によって取得した物に物的なキズ、数量不足、第三者の権利の付着などがあった場合、他の共有者はその持分に応じて担保責任を負うというもの。
要は売った場合と同じだよねと。
AさんとBさん共有の土地に対してAさんがBさんにお金を払って単有にした(価格賠償)。
Bさんから買った部分に第三者の権利が付いていたなどの場合はAさんがBさんに払う金額が減額される。
