測量士補

【測量士補試験】多角測量

今回は多角測量に関して。

多角測量

主にトータルステーションを用いて、角度と距離を観測し、位置を定める測量のことを多角測量(トラバース測量)という。

目標(プリズム)を視準することで角度と距離が同時に観測できる。

※右回りの角度

トータルステーションに付随する機械としてデータコレクタがある。

観測手簿の代わりになるもので、角度と距離の観測値を自動的に記録したり、コンピュータへデータ転送をしたりすることができる装置。

自動的に記録されるのは角度と距離の観測値のみであり、器械高および反射鏡高や気象要素の測定値などは観測者が入力する必要がある。

観測データを失うことの無いように、観測後には速やかに他の媒体にバックアップを取るようにする。

角度を測る仕組み

トータルステーション(TS)の中には分度器が3つ入っている。

鉛直軸:TSを水平方向に回転させるための軸

視準軸:視準する望遠鏡の中心の軸

水平軸:TSを鉛直方向に回転させるための軸

それぞれが正確でないと精度ある観測ができないため、定期的な点検・調整を要する。

TSを用いた角度の観測は方向観測法と呼び、一級基準点測量では水平角の観測は1視準1読定(1方向を見て、1回角度を観測する)を2対回する。(全部で4つの値を読む)

対回

1回角度を観測した後、望遠鏡を180°回転させ、さらに2回目の角度を観測すること

公共測量は求められる精度により、1級から4級の等級がある。1級が最も要求される精度が高く、測量士補試験においては基本的に1級の内容が出題される。

距離を測る仕組み

レーザ(光)がTSから発射され。目標(プリズム)に反射して往復する時間を計測することで、距離を測定する。

TSを用いた1級基準点測量では、距離の観測は1視準2読定(1方向を見て、2回距離を観測する)を1セットとし、水平角観測の必要対回数(2対回)に合わせ、取得された距離の観測値をすべて採用し、その平均値を最確値とすることができる。

誤差

測量には誤差はつきもの。完璧にはならない。したがって、複数の観測値から最確値を統計的に推定する。

※測量士補の問題文も「最も近いものを選べ」となっている

誤差の種類

系統誤差(定誤差)

一定の条件があれば発生することが分かっているもの

偶然誤差(不定誤差)

観測者が注意しても避けることができないもの

過失誤差

観測者の不注意によって生じるもの

精度の高い測量をするためには、過失誤差をなくすのはもちろん、系統誤差を究明して誤差を取り除くことが要求される。

精度

誤差の上限のこと。誤差が大きく、要求された精度に満たない場合、再測をしなければならない。

器械誤差

TSが構造上持つ誤差のこと。

測量士補試験では器械誤差の中で「望遠鏡の正反観測値を平均しても消去できないもの」つまり、望遠鏡を180°回転させても正反の誤差が打ち消し合わないものを選ばせる問題が多く出題される。

視準軸誤差:正反観測値を平均する

水平軸誤差:正反観測値を平均する

鉛直軸誤差:なし

偏心誤差:正反観測値を平均する

外心誤差:正反観測値を平均する

目盛誤差:観測工夫による軽減のみ

目標値のゆらぎ:観測工夫による軽減のみ

鉛直軸誤差だけは正反観測値を平均しても消去・軽減ができない。TSを正しく鉛直に整置し直す必要がある。

整置

TSや三脚などの測量機器を水平にしっかりと固定して設置すること

作業工程

作業計画

作業計画を作成できるのは測量士なので、測量士補試験では作業計画の深い知識は出題されない。しかし、「作業計画の工程では平均計画図を作成する」という点に注意。

※事務所で行う作業

地形図上に既知点あ新点の位置、観測する方向などを書き込んだもの。

選点

平均計画図に基づいて現地調査を行い、新点の位置の選定をする作業のこと。

選点では、選点図平均図を作成することになる。

現地調査は既知点に異常が無く、測量作業に使用できるかを観測の前にあらかじめ確認することが目的となる。

新点の設置場所としては、地盤が堅固、なおかつ通行の妨害または危険の内容配慮した場所である必要がある。(標識の長期保存に適した場所)

他人の土地に永久標識を設置しようとする時は、事前に土地の所有者または管理者からの建標承諾書が必要になる。

今後の測量で利用しやすくするため、新点の配置は既知点を考慮に入れた上で、視通を確保するのはもちろん、配点密度が必要十分でかつできるだけ均等になるよう配慮する必要がある。

視通

ある点からある点を直接見ることができる状態

観測網の形状については、1-2級基準点測量では結合多角方式をつかい、3-4級では単路線方式を使うことになる。

全体の路線長は極力短くし、節点数を少なく、辺の長さが均一になるのが望ましい。

測量標の設置

決定した新点の位置に永久標識を設置する作業。

永久標識には、必要に応じて固有番号などを記録したICタグを取り付けることができる。

永久標識設置後には、測量設置位置通知書および点の記を作成する。

過去問

まず補正値を割り出すのがコツ。

定数補正後の距離ー定数補正前の距離=補正値

よってBC=355.629m

回答は1となる。