今回は不在者や失踪者がいる場合の法的な取り扱いに関して説明します!
不在者の財産管理
不在者が財産管理人を置かなかった場合、家庭裁判所が利害関係者、または検察官の請求によってその財産の管理について必要な処分を命じることができる。
まあ自分の土地や建物をほったらかしてどっかいっちゃったら、他の人が色々処理しまっせということ。
財産管理人の権限
・保存行為(家屋の修繕など)
・利用行為(貸して利益を得るなど)
・改良行為(改良して財産価値を上げる行為)
については家庭裁判所の許可は不要。
処分行為(管理行為を越える行為)は家庭裁判所の許可が必要。
許可を得ないで行った処分行為は無権代理となる。
代理権をもたない者(無権代理人)が、代理人と称して法律行為をすること
不動産登記法との関連
土地の合筆登記(二つ以上の土地を一つにすること)は管理行為とされ、家庭裁判所の許可を得なくても不在者の財産管理人は不在者の土地について合筆登記の申請をすることができる。
土地の数が少なくなる分管理の手間が減るよね?ということで管理行為となっている模様。
失踪宣告
生きてるか死んでるかわからない不在者がいる場合、死亡が確認できないから相続が始まらないよね?
なので失踪宣告をして不在者を死亡したものとみなす。
「みなす」なので反証を許さない。
ということはたとえ失踪者が帰ってきたとしても効力は消滅しない。
いきなりいなくなるのが悪いんだからあとからつべこべ言うなや!ということ。
失踪宣告は失踪者の権利能力まで消滅させるものではないので、どこか別の場所で生きている場合はその場で権利能力が認められる。(生きてたら物の売買とかはできるよねと)
失踪宣告には2種類ある。
①普通失踪
いわゆる家を出ていなくなった人(なぜいなくなったかは分からない状態)
条件は
・7年間生死不明
・失踪期間満了時に死亡擬制となる(最後に生存確認された時から7年)
死亡擬制とは、死んだとみなすこと。
②特別失踪
戦地へ行った、沈没、遭難などに遭遇した場合(なぜいなくなったのか分かる状態)
条件は
・1年間生死不明(死んでる可能性が高いため期間は短い)・危難が去った「時」から1年で死亡擬制となる
失踪宣告の取消
失踪者が生きていた時、また死亡とみなされた時と異なる時期に死亡が確認された証明があった時、
家庭裁判所は本人あるいは利害関係人の請求によって失踪宣告を取り消さなければならない。
所在(死んでたときも含め)がしっかり分かったら失踪宣告は取り消しましょうねと。
で、原則としては
失踪者が生存していて失踪宣告が取り消された場合は宣告前の状態に戻るのが原則
なんですが!
当事者双方が善意で行った行為はその効力を失わない。
善意:ある事情を知らないこと
悪意:ある事情を知っていること
つまり知らないで行った行為はその効力は維持される。
死んでると思ったので行われた契約は守られる。ということ。
どちらかが生きていることを知っていた(相続狙いなど)の場合は効力を失うよと。
失踪宣告によって財産を得た者(相続人など)はその取消しによって権利を失うけど、現に利益を受けている限度においてのみ財産の返還義務がある。
ここは前に説明した、生活費は返さなきゃいけないけどギャンブルなどで浪費した分は返さなくて良いよということと一緒。
っていうか生きてることを知ってたけど相続狙いで受け取った財産を返す時にギャンブル下分は返さなくてOKって、かなりあれな気が、、。
まあルールはルールということで、、。