今回は水準測量に関して。
水準測量
標高を精密に観測する基準点測量の一つ。
レベルと標尺
異なる2点にある標尺の目盛りを水平に読定するための器械がレベル。
自動レベル:内部にコンペンセータ(自動水平補正装置)が入っており、円形水準器で概ね水平に設置すれば自動的に視準線が水平に調整される。
電子レベル:画像処理装置が内蔵されたレベル。標尺目盛りの読定と距離の観測を自動で行うことができる。
電子レベルによる自動観測にはバーコード標尺という電子レベル専用の標尺が必要。
公共測量における1-2級水準点測量では、機器の点検を観測期間中、概ね10日ごとに行う必要がある。
また、レベルと標尺には精度により等級がついている。
※2級標尺は2級水準測量では使えないので注意
また、1級標尺はスプリングの張力変化などにより目盛誤差が変化するため定期的な検定を要する。
水準測量の誤差
視準線誤差・球差:前視と後視の視準距離を等しくする
鉛直軸誤差・零点(目盛)誤差:観測回数を偶数回にする
は頻出!
※水準測量は往復観測。目盛誤差の偏りをなくすために往復の観測で同じ測点に同じ標識を立てないようにする。
往路:A標尺→B標尺→A標尺
復路:B標尺→A標尺→B標尺
膨張誤差
標尺が構造上持つ誤差や温度の変化による伸縮による誤差は、標尺定数と膨張係数による標尺補正で補正する。
※測量士補試験では計算問題として出題される
標尺定数補正量=観測高低差×標尺定数
膨張係数補正量=観測高低差×(観測温度ー基準温度)×膨張係数
観測値から標尺補正計算を行う。
標尺定数補正量=観測高低差×標尺定数なので
膨張係数補正量=観測高低差×(観測温度ー基準温度)×膨張係数なので
観測された観測高低差に標尺定数補正量(0.000666m)と膨張係数補正量(0.000333m)を加えて補正後の高低差を計算する。
55.5000+0.000666+0.000333=55.500999m
よって正解は最も近い4となる。
機器の点検調整
まずBから一番近い標尺Ⅰの数値を基準に各々計算し補正量を算出する。
最後にBから見た標尺Ⅱの読定値に補正量を足し合わせる。
正解は3となる。
水準測量における注意点
観測の前に新点に永久標識を設置するが、安定させるために設置から観測まで最低でも24時間以上経過してから観測を行う。
レベル内部の温度上昇により膨張で生じた誤差を小さくするため、日傘を使用してレベルに直射日光を当てないようにする。
レベルの整置回数は偶数回にする必要がある。
1.2kmの路線で最大視準距離が40mの場合、後視と前視で80mの距離を観測できるが、1200m÷80m=15回ではダメ。最低16回となる。
レベルから標尺までの視準距離は下記の通り制限がある。
1級水準測量:50m
2級水準測量:60m
3級水準測量:70m
4級水準測量:70m
5級水準測量:80m
点検計算
まず、往方向と復方向の差を出し、次に較差の許容範囲を算出する。
この場合③が1.7677675を超えているので再測すべきとなり、正解は3となる。
仮に③が1.7677675以下であった場合は、観測距離の合計500m×4=2km
つまり2.5mm√2に較差の合計が収まっているかを計算する。
もし超えてしまう場合は、較差の中で一番大きい値(③)を再測する。
重量平均による最確値
水準測量ではその性質上、観測回数が多いほど誤差が大きくなる。
観測路線が長いほど誤差が大きい。
重量が大きいほどその観測値の信用が高い。そのため路線長が長くなると、観測値の信用が下がることから重量は路線長に反比例することになる。
まず各路線におけるQの標高を求める。
その後、距離に応じた重量を算出する。
ここから最確値を求め、正解は4となる。