債権の続き
Contents
多数当事者間の債権・債務関係
連帯債務
Aさんから、B、C、Dさん(連帯債務者)が合わせて600万円を借りている。
Aさんは連帯債務者それぞれに600万円全部返してということができる。
連帯債務者は負担部分があるので話し合いによって返す金額の比率を決めておける。
仮にBさんが600万円払えばAさんとの連帯債務関係は終わり。CさんとDさんに負担部分を求償できる。
賠償または償還を求めること
連帯債務者の1人に生じた事由の効力
原則として相対効。
連帯債務者の1人に生じた事由の効力が他の連帯債務者に影響を及ぼさない。
例外で絶対効となる。
①更改、相殺、混同 (ぜったいこうそくどうろ)ゴロで覚える
新債務を成立させることによって、旧債務を消滅させる契約
BさんがAさんに「今度車あげるからこの債務消して」と言える
・相殺
BさんがAさんに別に600万円を貸してたので「相殺してチャラにしよう」と言える。
・混同
債権と債務が同一人に帰属すること。(相続など。自分が自分にお金を貸せない)
(全てBさん、Cさんにも影響を及ぼす)
②弁済、代物弁済、供託
上の例だとBさんがAさんに600万円返したら全体の連帯債務関係が消える。(Bさんの行為がCさん、Dさんにも影響を及ぼしてる)
別のもので返すのも可能(代物弁済)
求償関係
連帯債務者の1人が弁済した時は他の連帯債務者に対してその負担部分に応じた償還を求めることができる。
負担部分は債権者(Aさん)からは見えないので連帯債務者間で協議する。
Bさんが一旦全部払ったからCさんとDさんに負担分を請求するなど。
償還する資力のない者がある時
償還する資力のない者がある時は、その償還できない部分は求償者および他の資力ある連帯債務者が各自の負担部分に応じてこれを負担する。
Dさんが返せなかった場合、Dさんの負担分200万円を100万円ずつBさんとCさんが負担する。
この場合Bさんは既に600万円をAさんに払っているのでCさんに300万円を求償することができる。
保証債務
AさんがBさんにお金を貸しているが、Cさんが保証人になった。
Bさんがお金を返せない場合、Cさんが返すことになる。
保証人によって保証される他人の債務を主たる債務(主債務)といい、保証人の債務を保証債務という。
※それぞれは全く別の契約
要件
①保証契約の締結
②①の契約が書面によること
③主たる債務の存在
民法で書面によることと限定しているのは珍しい。それだけ保証契約は慎重性が求められる。
効果
保証債務は主債務の元本のほか、利息、違約金、損害賠償などすべてのものを含む。
主債務に生じた事由は原則としてすべて保証債務に影響を与える。
逆に保証債務に生じた事由は、主債務を消滅させる行為のほかは主債務に影響しない。
※主債務が時効更新したら保証債務も時効更新される。
※保証債務が時効更新しても主債務は時効を更新すること無く続く
※主債務が時効によって消滅した場合、付従性で保証債務も消滅する。
・随伴性
債務が移転すると、保証債務もこれとともに移転する。
・補充性
主たる債務が履行されない場合にはじめて、保証人が履行の責任を負うこと。
あくまでもお金を借りた人が返しましょうねということ。
なので保証人は、主たる債務者に対する請求を求める催告の抗弁権と一定の場合に主たる債務者の財産について執行させることのできる検索の抗弁権を持つ。
催告の抗弁権:「まず債務者に催告してよ」と債権者に言えること
検索の抗弁権:「まず債務者に財産がないか調べて(強制執行して)よ」と言えること
保証人の求償権
保証人が弁済をした時は、主債務者に求償することができる。
ただし主債務者が返せなかったから保証人が返したわけなので実際には難しい。
連帯保証
保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担する場合。
連帯保証人=負担部分はゼロの連帯債務者
BさんがAさんから600万円借りた。保証人Cさんは600万円の連帯債務関係になる。
負担部分はBさんが600万円、Cさんは0円。
連帯債務なのでAさん(債権者)はBさんにもCさんにも600万円を請求することができる。
Bさんが弁済したら債務は消えるのでCさんに求償することはない。
Cさんが600万円を返したら、負担部分は0なのでBさんに対して600万円求償することができる。
効果
補充性
連帯保証人は、催告の抗弁権、検索の抗弁権を持たない。(連帯債務者だから)
相対効・絶対効
連帯債務の絶対効に関する規定が準用される。なので更改、相殺、混同などの効力は主たる債務者にも及ぶ。
求償
負担部分がゼロなので保証人が主債務者に代わって弁済をした時は、全額について主債務者に対して求償権を有する。
債権譲渡
債権の同一性を保ちながら債権を移転させること。
A銀行がBさんに300万円貸していた。A銀行はその債権を新債権者Cさんに譲渡することができる。その場合、BさんはCさんに300万円を返す必要がある。
よくある例
A銀行はBさんが返してくれないんじゃないかと思ったら、その債権をCさん(サービサー)に売る。(返ってこないと思ってるのでA銀行は30万円でも売れればよい)
Cさんは少なくとも30万円以上はBさんから取れるように頑張る。
金銭債権回収を行う専門業者
債権譲渡の性質
債権は自由に譲渡することができる。将来発生する債権の譲渡も有効。
例外
①性質上譲渡を許さない債権(画家に自分の肖像画を描かせる債権)
※性質が変わるため
②法律上譲渡が禁止されている債権(扶養請求権、恩給受給権)
※その人でなければいけないため
対抗要件
①債務者への対抗要件
債権譲渡の事実を債務者に対抗するためには、譲渡人からの債務者に対する通知または債務者の承諾が必要。
上の例だとA銀行はBさんに伝えなければいけない。(Cさんからだと正しいかわからないから)
※承諾の相手方に関しては譲渡人・譲受人のいずれでもよい
Bさんの二重払いを避けるため
②第三者への対抗要件
A銀行がCさんだけではなく、Dさんにも債権譲渡をしていた。
この場合、第三者に対する対抗要件を具備する必要がある。
確定日付のある譲渡人から債務者に対する通知、または確定日付のある証書による債務者の承諾が必要。
「確定日付のある」ことが大事。
内容証明郵便や構成所々などの公的機関の確認がなされている文書のこと。
優劣の基準(確定日付か証書の到達・承諾の日時か)
債権が二重に譲渡され、いずれも第三者への対抗要件を具備している場合は何を基準に優劣を決するか?
・確定日付はDさんの日付の方が早いが、Bさんに到達したのはCさんの方が早い場合
→先に通知が到達した方の勝ち(Cさんの勝ち)
・同時に到達した場合
譲受人は、債務者に対しそれぞれ譲受債権全額の請求をすることができる。
Bさんはどちらかに300万円払えば弁済で債権は消滅する(大体は先に請求してきた方)。両方に払わなければいけないわけではない。
債権譲渡の効果
債権譲渡は債権の同一性を維持したまま目的債権を移転する効果を生ずる。
なので目的債権に関する担保や目的債権に付着していた抗弁も移転する。
仮にCさんから請求されても「既にA銀行に300万円返したのでもう払わないよ」と言えること。
債権の消滅
弁済によって債権が消滅する。当たり前だね。
その他の債権の消滅事由
・代物弁済
お金の代わりに車を引渡すなど(両者の契約が必要)
債権者が納得するなら同じ価値の物でなくてもよい。
・供託
債権者がわからない場合、供託所に寄託することによって債権を消滅させる。
本来の債権者が現れたら供託所で引き下ろすことになる。
ものを他人に預け、その処理を頼むこと
・更改
従前の債務に代えて、一定の新債務を発生させる契約
・免除
債権を無償で消滅させる債権者の一方的意思表示
・混同
債権及び債務が同一人に帰属すること(債権者と債務者が同じ人なのはおかしい)