物権変動のラスト。今回は不動産ではなく動産について。

動産の物権変動
不動産の物権変動の対抗要件は「登記」だったが、動産の物権変動の対抗要件は「引渡し」になる。
引き渡しの種類
・現実の引渡し
譲渡人から譲受人に者が移動すること(コンビニの買い物など)
・簡易の引渡し
譲受人の手元に物が既にある(借りてる物を買う)
・占有改定
譲渡人が譲渡後も物を手元に置き続ける(買ったものを置いといてもらう)
・指図による占有移転
占有代理人の手元に有るものを譲渡する。(Cさんが管理する倉庫にある物を買う)
AさんがCさんに、Bさんのために保管してねと命じた、Bさんがそれを承諾すると占有が移転する。
※承諾を要求されているのはBさん(譲受人)であってCさん(占有代理人)ではないので注意。
即時取得
動産における公信の原則。
「物を持っている(公示)ということを信用しよう」というのが公信ということ。
Aさんが時計を持っていたがBさんに貸した。Bさんはその時計をCさんと売買契約した。
Cさんからしたら時計はBさんの物に見えるのでCさんは善意。なのでこの動産を手に入れることができる。
譲渡人(Bさん)の権利の有無とは関係なく、権利を取得できる。
つまり貸したものをメルカリで売られてしまったら取り返せないということか、、。
要件・効果
①目的物が動産であること
不動産は即時取得は成立しない。(登記が必要だから)
※動産の中でも登録自動車については即時取得の適用はない。
公示制度として登録制度があるため(不動産でいうところの登記)
船舶・航空機もこれにあたる。
ただし、未登録自動車については即時取得の適用がある。(登録してないから)
②前主が無権限者ないし無権利者であること
制限行為能力者や無権代理人による処分、意思表示の瑕疵、意思の不存在の場合には即時取得が成立しない。(取消しや無効を主張できるため)
つまりBさんは時計を制限行為能力者や無権代理人から買った場合、即時取得できない。
ただし、Cさんから関係ないDさんに売った(転得した)場合、これは即時取得の適用がある。(Dさん保護の観点から)
③有効な取引行為が存在すること
奪われたとかではダメ。きちんとした取引であること。
相続による取得や、自己の物と間違って他人の物を取得した場合には即時取得の規定は適用されない。
④取得者(Cさん)が平穏・公然・善意・無過失であること
無過失も「推定」される。ここが取得時効とは異なる。
争う側は相手にこの要件の一部でも欠けていることを立証しなければいけない。
※取得時効は平穏・公然・善意までが推定される。
⑤取得者が占有を取得すること
占有改定では即時取得が成立しない。(物が手元にないので)
あとでもらうから置いといて。というもの。
これに対して、指図による占有移転の場合には即時取得が成立する。
これらが満たされるCさんは原始取得者となる。(権利がまっさらな状態)
盗品または遺失物についての特例
即時取得の要件を満たしている場合でも、それが盗品または遺失物だった場合は、盗難or遺失の時から2年間に限って被害者または遺失者は物を取り戻すことができる。
Aさんの物をBさんが盗み、その後Cさんに売った。
この場合Aさんは2年間に限りCさんから取り戻すことができる。
なおかつ原則無償なのでタダで返せと言える。
ただし、Cさんが市場などを通じて善意で買い受けた場合はAさんは取り戻すために代価を弁償しなければならない。(保管の費用まではいらない)
やっぱりメルカリで売られたものは取り返せないということか、、。
権利者の意思によらないでその占有を離れた物。Aさんの意思でBさんに渡っていないということ。
※詐欺または横領の目的物は「盗品・または遺失物」には含まれない。
権利者の意思によらずに占有を離れたとは言えないため。つまり返してと言えない。
自己の専有する他人の物を不法に領得すること。
所有者が自分の意思にもとづいて物を預けたという点で「権利者の意思によらずに」とは言えない。
明認方法
立木(りゅうぼく)は土地の定着物ということで不動産として扱われる。
土地よりも木の方が価値があることが多々あるため、立木は土地とは独立して取引の対象にされている。
この取引を公示する方法として「明認方法」がある。
※その木が誰のものか明らかにすること
種類としては
・墨書する
・木の幹に焼印をする
・立札を立てる
がある。
第三者が現れた時に明認方法が存在している必要がある。
つまり「ここに『俺の木だ』って書いてあるでしょ」と言える必要がある。雨風で消えてしまったらダメ。
明認方法の対抗力
①立木所有権の譲渡
Aさんが1つの木をBさんとCさん両方に売った場合。
明認方法を先にした方が所有権を主張できる。
不動産の場合の二重譲渡は「先に登記をした方が勝ち」と同じだね。
②土地の譲渡と立木所有権の譲渡
AさんがBさんに土地を売った。その土地にBさんが立木を植えた。
その後、AさんがCさんに立木とともに土地を売った。
この場合はBさんの明認方法とCさんの登記が争うことになる。
Cさんが登記を備える前にBさんが明認方法を備えていれば立木の所有権を主張することができる。
※早いもの勝ち

③立木所有権の留保
Aさんが立木がある土地を持っていたが、土地だけをBさんに売った。
しかし、BさんはCさんに立木付きで土地を売った。
この場合Aさんは立木の明認方法が必要、Cさんは土地の登記が必要。

どちらか早い方が立木の所有権を主張できる。(当然ながら土地はCさんのもの)
④土地と立木を共に譲渡した場合の処理
立木がある土地をAさんがBさんとCさんに二重譲渡した場合。
なおかつBさんは立木の明認方法だけ、Cさんは土地の登記だけ備えた。
そもそも土地を売ったわけなので、先に土地の登記を済ませたCさんが立木所有権も主張できる。

⑤立木を植栽した場合の処理
Aさんが土地をBさんに売り、Bさんは土地に立木を植えた。その後、AさんはCさんにも同じ土地を売り、Cさんは登記を行った。
土地は登記を行ったCさんの物となり、結果としてBさんは他人の土地に立木を植えたことになる。
この場合、明認方法があればBさんは立木の所有権を主張することができる。
⑥立木所有権の時効取得
BさんがAさんの土地に勝手に(無権原)立木を植えた場合、立木はAさんの物になる。
しかし、Bさんはその後20年間立木の占有を継続した。
この場合、時効取得が成立する。
その後、Aさんが立木を伐採した場合、BさんはAさんに対して立木所有権の侵害を理由に損害賠償を請求できる。
⑦立木所有権の帰属と抜去の義務
BさんがAさんの土地に勝手に(無権原)立木を植えた場合、同じく立木はAさんの物になる。
ただし、AさんはBさんに「立木を抜いてください」とは言えない。(Aさんの物だから)
物権の消滅
消滅原因
・目的物の滅失(火事などで物自体が消える。抵当権なども消える)
・消滅時効(所有権は時効消滅しないが、所有権以外の物権(地上権、地役権など)は20年で消滅時効となる)
※所有権は時効消滅しないのが大事
・物権の放棄(放棄されたら権利は消滅する)
混同
併存させておく必要のない2つの法律上の地位が同一人に帰すること。
混同によって消滅する場合
①所有権と地上権、抵当権などの他の物権とが同一人に帰した場合には他の物権は消滅する
Aさんが所有権を持ってる土地にB銀行が抵当権を付けている。(土地を担保に取ってお金を貸している)
所有権がAさんからB銀行に移った場合、矛盾が生じて抵当権が意味が無くなるので消滅する。
※自分の土地を自分に貸す自己借地はNG。他の人も含めた順共有はOK。
Aさんの土地にAさんとBさんが使う目的の建物を建てるために地上権を設定するのはOKということ。(混同によって消滅しない)
②所有権以外の物権とこれを目的とする抵当権などの他の権利とが同一人に帰した場合、抵当権などの他の権利は消滅する。
Aさんが所有権を持っている土地にB銀行が抵当権を付けた。さらにその抵当権を目的にC銀行が抵当権を付けた。(転抵当)
抵当権を目的とする抵当権
B銀行の設定した抵当権がC銀行のものになった場合、矛盾するので消滅する。
③混同によって消滅しない場合
Aさんが所有権を持っている土地にB銀行が抵当権を付けた。さらにその抵当権を目的にC銀行が抵当権を付けた。(転抵当)
その後、Aさんの土地がB銀行のものになった。
関係者がAさんとB銀行だけだった場合、混同により抵当権は消滅するが、これが消滅するとそれを目的としたC銀行(第三者)の利益が害されてしまうため、消滅しない。
