今回は条件・期限・期間について。
商品の売買契約をする際に、「引き渡しを一ヶ月後にします」というように決める。
このような条件や期限は「付款」と呼ばれる。
法律行為の効力の発生・消滅につき、当事者が合意に寄って制限を加えた約款
将来発生するのが不確実なもの(試験に合格したら、、など)
将来発生するのが確実なもの(一ヶ月後の引き渡しなど)
Contents
条件
条件には2種類ある。
①停止条件:一定の事実が発生したら効力が発生するもの
※発生なのに停止
「大学合格したら自転車をあげるね」
→合格したら渡さなければいけなくなるよね
②解除条件:一定の事実が発生したら法律行為の効力が消滅するもの
「留年したら奨学金の支給を止めるよ」
→実際に留年したら効力が消滅する
いずれも条件が成就した時からその効力が生じる。
遡及するわけではないが、成就した時以前に遡らせる意思を表示した時はその意志に従う。
「留年したら奨学金を止めるし、今まであげてた奨学金も返して下さい」
という意思があったらそれに従うということ。
何も言わなかったら遡及しない。
条件の成否が未定である間は相手方の利益を害することができない
「合格したら自転車をあげるね」と言ったあと、
→合格しそうだ。やばい、あげたくないから自転車を壊しちゃおう。
自転車をもらえるから頑張ったのに自転車を壊されたら利益が害されるよね。
この場合、相手に対して損害賠償請求することができる。
ただし、条件成就前に請求することはできない。(合格しないとダメということ)
条件成就の妨害
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げた時は、相手方はその条件が成就したものとみなすことができる。
「合格したら自転車をあげるね」と言ったあと、
→合格しそうだ。やばい、あげたくないから勉強の邪魔をしよう。
これをされた場合、合格という条件は成就されたものとみなすことができる。
なので自転車をもらう権利を主張することができる。
逆に、不正によって条件を成就させた場合は、相手方はその条件が成就しなかったものとみなされる。
合格できなそうだからカンニングをした。
→自転車を上げる必要はない
条件を設定したんだからフェアにいこうねということ。
例
農地法の適用のある農地の売り主が故意に知事の許可を得ることを妨げた。
農地専用なので、その土地で農業ができると知事に認められた人でないと所有権がない。
あいつには売りたくないから知事の許可を得ることを妨害しようと。
ただしこれは、知事の許可を得ることを妨げたからと言って買主は知事の許可を得ることはできないので条件を成就したとはみなせない。
例えば弁護士試験の勉強を妨げられたからといって「弁護士試験に合格したことにする」ということにはならないのと一緒。
停止条件の成就が債務者の意思のみにかかる法律行為は無効
成就によって不利益を被る方
AさんがBさんからお金を借りている。
ある条件が成就したらBさんにお金を返さなくてはならないという停止条件を付けた。
この場合、成就によって不利益を被るのは、お金を借りているAさん(返さなくちゃならない)ということになる。
この場合、Aさん(債務者)のみにかかる法律行為にあたるので無効になる。
また例えば「Aさん(債務者)の気が向いたらお金を返す」と合意しても法律上の効力は発生しない。(Aさん(債務者)の意思のみにかかっているため)
逆に「Bさん(債権者)の気が向いたらお金を返す」というのは有効。
また、解除条件(留年したら奨学金が止まるなど)に関しては、債権者or債務者の片方の意思のみにかかるとしても有効となる。
・停止条件の成就で債権者の意思のみにかかる法律行為は有効
・解除条件の成就で債務者or債権者の意思のみにかかる法律行為は有効
無効と無条件
そもそも成立しない
「合格したら自転車をもらえる」の「合格したら」をなくす
つまり自転車をもらえる。
既成条件
・停止条件
合格したら自転車をもらえる
→既に合格していた(成就)。だから自転車をもらえる。(無条件)
→不合格だった(不成就)。だから自転車をもらえない。(無効)
・解除条件
不合格なら自転車をもらえない
→既に合格していた(成就)。成立していないので無効。
→既に不合格だった(不成就)。だから自転車をもらえない。(無条件)
不能条件
成就するすベがなくなること(試験自体がなくなったなど)
・停止条件
合格したら自転車をもらえる
→試験が無くなったら合格しようがないので無効
・解除条件
不合格なら自転車をもらえない
→試験が無くなったら結果は同じなので無条件。自転車はもらえない。
純粋随意条件
前述の通り、停止条件の成就が債務者の意思のみにかかる法律行為は無効。
※解除条件の成就で債務者or債権者の意思のみにかかる法律行為は有効
※停止条件の成就で債権者の意思のみにかかる法律行為は有効
不法条件
不法行為をしたらルール違反なので無効。
人を殺したらお金をあげるなど。
※不法行為をしない条件も無効
人を殺さなかったらお金をあげるなど。
ただし、全体として不法性を有しない場合には無効とならない。
自動車保険「事故を起こさなかったら保険料を安くするよ」
これは不法性を有さないのでOK。
期限
将来必ず到来する事実のこと。
期限には
①確定期限(発生する時期が確定しているもの)
◯月◯日に引き渡しなど
②不確定期限(発生する時期が不確定なもの)
死亡や出世払いなど
③期限の定めのないもの(将来必ず到来するが時期を定めないもの)
がある。
期間
ある時点からある時点までの継続した時の区分。
・時間に寄って定めた時の計算方法
期間を定めるのに時・分・秒を単位とした場合には即時に計算を始める。
「2時間後にお金を返してね」と言われたら、言われた瞬間から計算を始める。
・日・週・月・年によって定めた時の計算方法
この場合は、原則として期間の初日は算入しない。(つまり翌日から)
4月1日午前1時に2週間の期間で金銭を借りた場合、残りの23時間は切り捨てて4月2日から起算して2週間後、つまり4月15日の午後12時(24時)に満了する。
初日不算入というところがポイント。