今回は契約について。
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契約総論
互いに対立する2個の意思表示お合致によって成立する法律行為。
先の意思表示を申込み(買います)、後の意思表示を承諾(売ります)という。
申込み
一定の契約を締結しようとする意思表示。
・効力発生時期
到達主義が原則。(Bさんに買いますという意思が届いた時)
※制限行為能力者の代理人が催告を受けた際の返答のみが発信主義
相手方の支配権内に置かれること。(ポストに入ればOK)
・申込者の死亡・行為能力の喪失
申込者が発信した後、到達前に死亡、または行為能力を喪失しても、申込みが到達すれば原則として効力が生ずる。
ただし、申込者がその事実が生じたとすればその申込は効力を有しない旨の意思表示をしていた時、あるいは相手方が承諾の通知を発するまでにその事実を知った時は効力を生じない。
あらかじめ伝えていたor知っていた場合は効力を生じませんよと。
申込みの拘束力
承諾期間を定めてした契約の申込みは撤回することができない。
「◯月◯日までに承諾してくれたら売ります」という申込みの場合、期限を過ぎる前に撤回することはできない。
承諾期間を定めないでした隔地者に対しての申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは撤回することができない。
意思表示が了解されるまでに時間を要する状態にある者
承諾
申込みを受けてこれに同意することにより契約を成立させる意思表示。
・効力発生時期
相手方に到達した時から効力が生じる。
承諾者が申込みに条件を付けて、その他変更に加えてこれを承諾した時は、その申込の拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされる。
AさんがBさんに500万円で車を売ると言い、Bさんが400万円なら買いますと伝えた場合、最初の申込みは成立せず、Bさんからの提案が発信されたと解釈される。
つまり今度はAさんが承諾側になる。
契約の種類
13種類の契約
贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解
を典型契約(有名契約)
そうでない契約(出版契約、旅館宿泊契約)を非典型契約(無名契約)という。
双務契約・片務契約
互いに対価的な関係を有する債務を負担する契約を双務契約(売買など)、有しない契約を片務契約(贈与など)という。
有償契約・無償契約
互いに対価的意義を有する出捐(経済的損失)をする契約を有償契約(売買など)、有しない契約を無償契約(贈与など)という。
当事者の一方が自分の意思によって財産上の損失をして、他方に利益を得させること
双務・片務契約、有償・無償契約は殆ど一緒だが、消費貸借のみ利息付きは片務契約だが有償となる。(唯一の例外)
醤油を使わせてもらって注ぎ足して返すようなこと。代表的なものは金銭消費貸借。
借りた分は元に戻して返す。通常は無償だが、利息を付けた場合は経済的損失があるので有償契約となる。
要物契約・諾成契約
当事者の意思表示のみで成立する契約を諾成契約という。一方、当事者の合意の他に、一方の当事者が物の引渡しその他の給付をすることを成立要件とする契約を要物契約という。
※要物契約も消費貸借のみ。
100万円貸しますという契約は実際に100万円渡す必要があるよねと。
ただし書面ですることで諾成とすることができる。
同時履行の抗弁権
双務契約における当事者の一方が、相手方が債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒絶することができる権原。
AさんがBさんに車を売った。BさんはAさんにお金を払う。
AさんがBさんに車を渡すまでBさんはお金を払わなくていいし、逆にAさんはBさんにお金をもらうまで車を渡さなくていい。ということ。
危険負担
双務契約の成立後、どちらかの債務が完全に履行される前に、一方の債務が債務者の責めに帰すべき事由によらずに消滅してしまった場合、他方の債務(反対給付)はどうなるのかという問題。
AさんがBさんに車を売った。
Aさんに落ち度がなく(自然災害など)車が消滅した場合、Bさんはお金を払う必要があるか?
Aの問題であれば債務不履行(解除、損害賠償請求)になるが、そうでなければ危険負担になる。
Bさんは車をもらっていないので反対給付を拒絶できる。
つまりお金は払わなくてよい。
危険負担は任意規定なので絶対にしなければいけないわけではない。特別な特約を結んでいればそちらが有効となる。
例外
①債権者が悪い(Bさんが車を燃やしたなど)場合、反対給付を拒絶できない。
②受領遅滞が生じた後に、債務者の責めに帰することのできない事由によって債務の履行が不能となった場合、反対給付を拒絶できない。
Bさんが車を受け取らなかった。その後、車が自然災害で消滅したなど。この場合はBさんが悪いため。
不特定物の取扱いについて
不特定物(ビールなど、個性がないもの)に関する場合、目的物の特定が生じないうちに滅失・損傷しても履行不能となることはなく、危険負担の問題は生じない。
別のビールを持ってくればいいからね。
解除
契約が締結された後に一方当事者の意思表示によりその契約を遡及的に消滅させる制度。
法定解除:法律の規定(債務不履行)によって解除する権原が与えられる場合
約定解除:当事者の合意により当事者の一方ないし双方に契約を解除する権限を与える場合
法定解除の要件
・催告による解除
①履行遅滞があること
②債権者が相当の期間を定めて「履行の催告をする」こと
③債務者が催告期間内に履行をしないこと
④解除の意思表示をすること
※期間を定めなくても、客観的にみて相当の期間内に履行をしなければ解除の要件は満たされる
・催告によらない解除
①履行不能の場合
②債務者が履行を明確に拒絶した場合
③債務の一部履行不能または債務者の一部履行拒絶の場合において、債務の残存する部分のみでは契約目的を達成することができない時
④定期行為の場合
⑤その他、契約目的の達成に足りる履行の見込みがない事情がある場合(当事者の信頼関係が破壊されているなど)
※定期行為
契約の性質または当事者の意思表示により、一定の日時または一定の期間内に履行しなければ、契約の目的を達成することができない行為(その日にくれないと意味がない契約、ウェディングケーキが当日に届かなかったなど)
法定解除の効果
契約は遡及的に消滅する。①未履行債務は当然に消滅する。②履行されたものは返還し、契約締結以前の状態に戻す義務が発生する。
ただし、解除前の第三者の利益を害することは許されない。
※不動産の場合、第三者が保護される場合は登記が必要
解除権の不可分性
契約当事者が複数いる場合、「全員または全員に対して」解除の意思表示をしなければならない。
※共有物の賃貸の解除は持分の価格の過半数ですることができる。なので全員からする必要はない。(変更行為ではなく管理行為だから)