土地家屋調査士

未経験者が土地家屋調査士事務所で働いてみた最初の感想

こんにちは。

あっという間に2020年も終わりですね。
とにかく今年はコロナに振り回された1年だったのではないでしょうか?

僕はというと、前回の記事にあるように、首都圏のとある土地家屋調査士事務所で今月から働き始めて忙しい日々を過ごしております。

https://tochikaokuchosashi.com/saiyo/

全くの未経験者が調査士事務所で働き初めて数週間たった今、その感想をまとめてみようと思います。

市役所&法務局まわり

自分の事務所は役所や法務局の書類関係担当と現場で測量or立会い担当で別れているのですが、

まずは最初ということで市役所で書類集め、法務局で登記申請や登記完了証の回収なんかを手伝いました。

市役所で何をするか?

実際市役所で具体的に何するのよ?

って話なんですが、まずは

・道路台帳

・境界確定図

・基準点網図

などを取ってくるのが目的。

細かいことは一旦置いておいて、これらは

基準点や杭の位置、土地の辺長などが記載されている

ので、実際に現場に出て測量する前提として助けになる資料なんですね。

↑こういうやつ

ちなみにこれら書類は専用の機械で印刷するんですが、

こんなやつね。

手書き時代に記録された部分などはこの機械に入ってないことも多いのでその場合、職員に聞いて昔の図面を広げて取ってもらうことも、、。

市役所の職員さんも大変やな、、

と率直に思いましたね。

場合にもよりますが、もう一つ役所でやることと言えば滅失証明の取得。

なんやねんそれ?って話ですよね。

これは例えば、とある土地の測量を依頼された場合、

その土地に元々家が建っていたけど既に取り壊されていて存在しないぞ、、

→この場合、本来であれば滅失登記といって

「家を取り壊しましたよ~」

という登記をする必要があったんですが、恐らく所有者がその登記を怠っており、

実際に家はもうないけど登記記録上は残ってしまっている、、

こんな状態が結構あるんですね。

その場合、依頼を受けた土地家屋調査士がその家の滅失登記もついでに行うことになるんですが、「家が既に存在しない」ということを証明する資料が必要になるわけです。

なので市役所に来て、固定資産税台帳なんかをチェックしてもらい、

「あぁ、もう固定資産税は払ってないから家はありませんね」

という確認をしてもらい、滅失証明書を発行してもらう→法務局で滅失登記申請の際に一緒に提出。

こんな流れになるわけです。

法務局で何をするか?

法務局といっても、主に出張所の話。

登記申請はその不動産を管轄している登記所に申請しなければいけないので、紙で提出する場合は結構移動が面倒、、。

っていうか、

今どきネットで登記申請できるんですけどね。

役所の書類集めなんかもそうですが、正直ネットを駆使すれば省ける業務は結構あるよな、、。

というのが率直な感想。

まあ高齢の方が多い事務所なので(業界としても高齢が多い)既存のやり方を踏襲してるんでしょうね、、。

そして法務局の周りって司法書士や調査士事務所が多いんですよ。

昔はその方が便利だったからでしょうね。そういう意味ではネットがある良い時代に生まれました、、。

さて、話は戻って実際に法務局で何をするかですが、

・登記申請

・登記完了証の回収

・補正がある場合、必要書類提出

登記完了証というのは、「以前提出してもらった登記が完了しました」という証明ですね。

たまに申請書類に不備があると補正となることもあるらしく、その場合は新たに必要書類を提出する必要があるというわけです。

というわけで、ざっくり市役所&法務局でやる仕事といえばこんな感じ。

前述の通り、今はネットがあるので工夫次第では大幅に作業効率を上げる&経費削減することもできると思います。

実を言うと知り合いの調査士に「今どき紙申請ってあるんですか、、?」と質問したところ、

「そういえば、自分が元々いた事務所も未だに紙申請だわ。まあそのうちネット申請に切り替わるだろうから今のうちに経験しておくのもええんちゃう?」

ということで、そういうことだと思っている次第、、。

測量現場

ついに実際の測量現場デビューも経験しました!

一言でいうと、、

いや、めっちゃ重労働やなこれ。

もちろん大変なのは想像してましたが、想定の2倍くらい疲れますね。

TS(トータルステーション)は当然まだ触らせてもらえないので、やることと言えば

・ミラーマン(TSの目標となるポールとミラーのセットを持つ)

・杭探し(庭に埋まってる杭をスコップで掘り当てる)

がメイン。

ポールとミラーってこんなやつ。これで角度と距離を測るんですね。

水平に立てるのに意外とコツがいります。

高いので絶対壊すなよ。

と念押しされる()

杭探しに関しては、も~こりゃドカタの仕事ですね笑。(蔑んでるわけではない)

地積測量図を元に「ここらへんに杭があるはずなんだよな~」

という目星をつけて掘りまくるわけです(すぐ見つかる場合もある)

平地の家ならまだしも、高台にある家とかあるじゃないですか。

そしたら今度は塀をよじ登って探したりしますからね。

落ちたら死ぬ。

当然作業着はかなり汚くなります。

最初は作業着のまま電車通勤も行けるかな~。とか余裕こいてたんですが、

全然無理でした。

現場作業に関してはいわゆる3K(キツい、汚い、危険)そのもので、

よく、

「土地家屋調査士は女性でも大丈夫!」

みたいな文言見ますが、リアルな感想としては

「こりゃ奥さんや娘にはさせらんねぇ」(いませんが)

というのが率直な感想。

境界立ち会い

これぞ土地家屋調査士の仕事、境界立ち会い。

平たく言うと、

「お宅と隣地の境界、この線でいいですよね~?」

という確認をしてもらい、OKなら名前、住所、電話番号、ハンコを頂くというもの。

なんでこんな事する必要があるのかというと、

例えばある人が家を売りたい場合、殆どの場合不動産仲介会社を通すと思うんですが、

境界が曖昧だと不動産会社も買主に提案しづらいんですよね。

もし境界が曖昧なまま買主に売った後に隣地トラブルに発展したら、買主としては不動産会社に騙されたと思うわけで、最悪の場合訴訟もありうるわけです。

不動産会社としては当然そんなリスクは負いたくない。

そこで土地家屋調査士に依頼して境界を確定させてから売ったほうが安心安全。というわけです。

ちなみにこの境界確定は土地家屋調査士しかやってはいけない業務なので、資格がない測量会社がやっていたら本来はアウトです。

ただし、ここらへんは結構グレーゾーンらしく、実際に立ち会ってハンコ押す人は殆ど素人なわけで、見分けがつかないんですよね。(というか「土地家屋調査士って何?」って人が大半)

なので中には無資格で業務を請け負う悪徳業者もいるとのこと。

しかしこの境界立ち会い、事前のアポ取りから実際現地でハンコもらうまで、

ま~大変ですね。

自分はまだアポ取りはやっていませんが、

立ち会う側からしたら、

どこぞの馬の骨がいきなり連絡してきて「『きょーかいたちあい』とかいうよく分からんことをやるから、あんたのハンコをよこせ」

って言われてるようなもんなので、振り込め詐欺とか横行している昨今だとより一層ハードルも高くなってるわけです。

なおかつ隣地の所有者が実際にそこに住んでるとも限らず、遠隔地からはるばる来ていただくことも、、。

やってることは半分飛び込み営業に近いと思いますね。財布を開かせるわけではないですが。

自分が参加した立ち会い現場は基本的にスムーズでしたが、やはり中には

「なんで俺がこんなことやらなきゃいけね~んだよ」

とか

「息子にハンコはむやみに押すなと言われてまして」

とおっしゃる高齢の方もいたりと、当然ながら色々なパターンがあるなと。

ここまでである程度わかるように、土地家屋調査士、

かなりコミュ力必要だと思います。

初めましての人にハンコまでもらうわけですから、やはり資格取れば何とかなる仕事ではないなとは思いました。

まとめ

まだ働いて数週間ということで、全体像すら掴めていないところもあるのですが、

総じてこの仕事、

・体力必要
・めっちゃ汚れる
・運転技術必要
・コミュ力必要

な仕事だと思いました。

運転技術に関して、現場は駐車場がない場所も多いので路駐することも多いんですが(路駐は本来ダメだぞ、とかは一旦置いておいて)、

首都圏は道路が狭いので結構ギリギリに停めることも多いので、運転に苦手意識があると結構ツラいかも、、。(精神的にも疲弊しちゃうし)

特に何もできない下っ端は運転担当にさせられることも多いですから。

加えて先程書いたとおりコミュ力。

測量で隣地にお邪魔したり、路駐で近隣住民からクレーム入らないような配慮とか色々あるので結構気を使います。

特に隣地はもしかしたら境界立ち会いでハンコもらう可能性もあるわけで、絶対に機嫌を損ねてはいけないわけです。

しかし予想してたとはいえ、やはり相当大変な仕事です。

測量業界が人手不足なのも頷ける

ある程度覚悟がないと、特に若者は辞めてしまうのも無理はないかなと思ったり。

さて、そんなこんなで今年はほぼ土地家屋調査士の試験勉強に費やしていたわけですが、いよいよ筆記試験の合格発表が年明けに迫ってきました。

やっぱ緊張しますよね、、。まあ待つしか無いんですが。

というわけで2020年お疲れさまでした!