今回は親族法に関して。
土地家屋調査士試験にはあまり直接関係ないものの、用語は出てくるので用語や概念を理解しておくのが大事。
家族法
家族法は親族法と相続法に分類される。
※親族法の分野は土地家屋調査士試験にはあまり出ない
家族法上の行為は本人の意思を尊重することが要請されるので、民法総則の規定とは別の定めがなされていることがある。
身分行為の特色
①行為能力に関する規定は原則として適用されない
②代理は原則として認められない
③意思の不存在・瑕疵ある意思表示に関する規定は、原則として適用されない
④一定の形式を必要とするもの(要式行為)が多い
親族の意義
親族関係
自然的に血縁のある者。また、法的に血縁があると擬制された者(養子縁組)、および配偶者の血族、あるいは血族の配偶者相互間の関係。
親族関係の発生と消滅
血族関係
出生(自然血族)、または養子縁組(法定血族)により発生する。
死亡・失踪宣告により消滅する。法定血族関係は離縁および縁組の取消しによって終了する。
姻族関係
婚姻によって生じる関係。配偶者の父も親族になる。
離婚または婚姻の取消しがあると終了する。
親族の範囲
①6親等内の血族
②配偶者
③3親等内の姻属
※配偶者は姻族でも血族でもない。
直系血族
親と子、祖父母と孫のように、世代を隔てて垂直につながる血族。
傍系血族
兄・姉と弟・妹、おじ・おばとおい・めい、いとこのように、同一の始祖(父母、祖父母)から別れた血族。
直系尊属
親、祖父母のように「直系血族」のうち、自分よりも上の世代に属する者。
※相続の時に頻出する言葉
直系卑属
子、孫のように、「直系血族」のうち、自分よりも下の世代に属する者。
傍系尊属
おじ・おばのように「傍系血族」のうち自分よりも上の世代に属する者。
傍系卑属
おい・めいのように「傍系血族」のうち自分よりも下の世代に属する者。
※兄弟姉妹、いとこは同じ世代に属するため「傍系尊属」でも「傍系卑属」でもなく、単に「傍系血族」であるということになる。
※配偶者の兄弟の配偶者は親族にはあたらない。
https://fw-souzoku.or.jp/owned/relatives/より
利益相反行為
親権を行う父母と子の利益が相反する行為。
親権者のための利益であって未成年者のために不利益な行為、または親権に服する子の一方のために利益であって、他方の為に不利益である行為。
親権者(Aさん)が銀行からお金を借りる(貸金債権)ために、子であるBさんの土地に抵当権を付けさせ、さらにその行為を親権者が代理した。
→「自己の借入金債務」のために未成年の子を代理して子の不動産に抵当権を設定する行為は利益相反行為にあたる。
Aさんがお金を返せないとBさんの土地が処分されてしまうため、不利益が生じる。
貸金債権がBさんに向いていれば問題はない。
第三者(Cさん)が銀行からお金を借りる(貸金債権)ために、Bさんの土地に抵当権を付けさせ、さらにその行為を親権者(Aさん)が代理した。
→この場合は利益相反行為には当たらないため問題ない。親子で利益が相反していない。
「第三者の借入金債務」のために未成年の子を代理して子の不動産に抵当権を設定する行為は利益相反行為に当たらない。
あくまで親と子で利益が相反していないかが大事。
親と子で利益が相反していないかが大事
親が子供の土地に抵当権を設定して銀行からお金を借りようとした。なおかつそのお金は子供の養育費のためだった。
→利益相反行為にあたる。
中身は関係なく、行為の外形から客観的に判断される。親がお金を借りているので利益相反とみなされる。
利益相反行為の禁止
利益相反行為がなされた場合の効果は、無権代理の場合と同じく、本人に当該行為の効果が帰属しないことになる。
利益相反行為については家庭裁判所が子のために選任した特別代理人が、子を代理し、子に同意を与える。
※なので上の例の養育費のためなら、特別代理人を通せば可能になることもある
子の1人と他の子の利益が相反する場合(遺産分割協議など)には、一方の子のために特別代理人を選任する。