不動産登記法

【土地家屋調査士試験】承役地・要役地の分筆・合筆

今回は承役地と要役地の分筆と合筆についてまとめます。

最初にざっくり承役地と要役地について、

承役地:要役地に利用される側の土地

要役地:承役地を利用する側の土地

はい、ここまではいいですね。

じゃあこの承役地と要役地ですが、分筆や合筆についてはできるんでしょ~か?

ということで、結論としてはこの表の通り。

分筆 合筆
要役地 できる できない
※分合筆は可能
承役地 できる できる

要役地の合筆を除いては分筆も合筆もできます。

それでは先に承役地から説明。

承役地の分筆・合筆

利用される側の土地(承役地)の分筆は、地役権者(利用する人)の承諾をもらわなくてもできます。

ただし、地役権設定の範囲(要するに「この部分を利用しますよ~」という範囲)が分筆(または合筆)後の土地の一部である場合、

地役権証明書(地役権者が作成)

地役権図面

を添付書類として申請する必要がある。

分割後の土地の全部に地役権が存在する場合は不要

なおかつ申請書の下のスペースに例えば、

「地役権設定の範囲 3番1の土地 北側 78㎡」

のような記載が必要。

地役権が設定された土地の登記=3点セットが必要!

と覚えよう。特に地役権設定の範囲は記入漏れしやすいので、「3つ必要、3つ必要」と頭で念じる。

ちなみに承役地を分筆した場合(3番の土地を3番1、3番2に分けるなど)、

分筆後の土地の一部に地役権が残っていた場合、要役地に記載されている承役地の不動産に関する事項は登記官の職権により変更の登記がされる。

何を言ってるかというと、

もともと要役地の登記記録には「○番の土地(承役地)を利用できます」的な記録がされているので、地番が変わると当然ここも変えなければいけないわけなんですね。

だけど、これに関しては登記官が職権で行いますよということなので、要役地の権利者が何かをする必要はないと。

択一でも頻出ですね、ここは。

要役地の分筆

続いて要役地。

こちらも分筆に関しては可能。

さらに、要役地所有者の申し出があれば、分筆後のいずれか一方の土地についての地役権の登記を抹消することもできる。

3番の土地を3番1と3番2に分けるけど、3番2の土地については承役地を利用する権利は消しま~す。という具合。添付書類に消滅承諾書が必要になる。

あまり試験にはでませんが、要役地を分筆する場合、手続きとしては下記の2通り。

まずはたまに試験にでるパターン。

支号のない要役地を分筆する場合、分筆後の土地のいずれかの土地の地役権を抹消する時は分筆した土地について支合がない地番を存することができる

これは何を言ってるかというと、

例えば4番の土地を承役地とする3番の土地(要役地)を点線で分筆する場合、通常なら図のように3番1、3番2と分かれるんですが、

これだと承役地に記録されてる「要役地は3番です」という記録を書き換える必要がある。

そこで、例えば片方(3番2の方)の地役権を分筆の際に消滅させるのであれば、元の地番は変えなくてよいですよ。というのがこのやり方。

※分筆後、赤い斜線の土地は地役権を抹消

これによって承役地側で要役地の地番を書き換える必要がないので登記官もラクですよね。

という実務的な知識。たまに試験に出ます。

じゃあ分筆後の片方の地役権を抹消しなかったら?

これは試験には殆どでませんが一応知識として。

要役地を分筆した場合、承役地を分筆した場合と異なり、登記官が職権で承役地の変更登記ができず、地役権者と承役地の所有権の登記名義人が共同で承役地について地役権の変更の登記を申請する必要がある

承役地を分筆した場合は登記官が職権で要役地の変更登記を行うけど、要役地を分筆した場合はそれがないんですね。

なので地役権者と所有権の登記名義人が共同で変更登記する必要があるということなんですが、不思議ですよね。

まあ前述の通りこの点は自分の見る限り過去問でも全く見なかったポイントなので、そこまで気にしなくてよいと思います。

要役地の合筆

最後に要役地の合筆。

表にある通り、結論としては唯一これができません

合筆は受付の目的、申請の受付の年月日、受付番号、登記原因及びその日付が同一の先取特権、質権、抵当権、根抵当権に限り特別に認められているんですが、

要は地役権はそれ以外に該当するので合筆制限にあたるということなんですね。

ただし、分合筆登記で合筆する部分の地役権を抹消(消滅承諾書をつけて)するのであれば可能

これも試験によく出ます。

ということで、承役地、要役地の分筆、合筆の可否についての説明でした!